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人が、かつていたところ ──エデンへ ……

宗教とは、なにか?

 
わたしたちは、自分が何者なのか、知らない。
 
人間は長い間、自分自身の中に、生きることの意味を探し求めてきたが、答えが出なかった。それは、自分自身の中に、人生の出発の動機が見当たらないからだ。
 
産んでくれと自分が頼んだわけじゃないと、ひねくれる子供にとって── 両親が愛によって、子供の誕生を望んだ結果、自分が生まれたのだと、はっきり理解しない限り、人生はけして美しくありがたいものには見えない。
 
真実の愛によって生まれた子供が、いったいどれだけいるだろう?
たいていの人間が、十分な愛を受けないまま育ち、いつの間にかバトンを受け取り親になっていくのだから、たいていの者が自分の代で真実の愛を立ち上げなけばならないう、困難なミッションを背負うことになる。

人間とは、愛を確認しようとする存在である。それによって人生の価値を判定しようとする存在でもある。
人間にとって、自分が愛によって望まれて生まれたかどうかは、最も重要な問題なのである。

だから、どんなに時代が流れても、宗教はすたれない。
宇宙と人類を存在せしめた絶対者が、実存するのかしないのかは、無視できない問題だからである。
そして、その絶対者は、我々を愛したのか? 我々の誕生を望んだのか? 我々を救おうとしているのか? 
 
無神論は結局 ── 親に捨てられたような事情を抱える子供が、おれには親などいないし必要ないと、強がっているようなものである。愛された過去の一日さえないのなら、すべてを投げ捨てた方がましだからだ。

それほど、人間には愛が必要なのである。

愛を追い続ける以上、最後には、神を探し求めるしかない……