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人が、かつていたところ ──エデンへ ……

黄砂がやってきた!

 


本日、東京の空は霞がかかったように薄暗く、重苦しい色に沈んでいた。黄砂が訪れていたのだ。
近年、日本に飛来する黄砂は、その量、回数ともに増加傾向にあるようだ。

黄砂の旅の出発地点である黄土に覆われた中国 黄河中流域は、7000年前は森林に覆われていたことが分かっている。
人類の文明は、大量の資源、そして大量の木材と引換に、発展を遂げてきた。中国の歴史上、森林伐採のチャンピオンといえば、文句なしに秦の始皇帝である。壮大な宮殿建設や大運河などの公共事業に伴っての伐採は言うまでもないが、驚くべきは、陵墓の副葬品である 8000体にも及ぶ等身大の兵馬俑である。これを焼くための燃料となり、またこれらを納めた兵馬俑坑を覆った巨大な木造の天井に使用された木材は半端のものではなかっただろう。それが皇帝とはいえ、たった一人の人間のために浪費されてしまったのだ。

現在、陸地の3分の1が森林である。ところが、5000年前には、3分の2が森林であったと考えられている。つまり、5000年で、なんと半減してしまったのだ。にわかに信じがたいことだが、現在、世界の森林の減少する速度は凄まじく、1時間に東京ドーム 178個分とまでいわれている。
  
一人の人間が生きている間、使用してもいい紙や木材の量に基準を定められる日が、いつか来るかもしれない。