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人が、かつていたところ ──エデンへ ……

ダライ・ラマ の引退表明

  

 
ダライ・ラマ 14世が引退するとはじめて聞いた時、大いに驚いた。
ローマ 法王が終身、カトリックの最高指導者として、信徒の崇拝を一身に集めるように、チベット仏教の最高指導者である、ダライ・ラマ 法王に代わる者など存在しないと思っていたからだ。
だが、その引退表明の裏に隠された真意について、明らかにされ始めた。それは、政治から身を引いて亡命政府を民主化することで、後継者をめぐる中国との争いを封じるのが真の狙い、というものだ。

輪廻転生を信じるチベットでは、最高指導者の ダライ・ラマ と、二番目の指導者のパンチェン・ラマが、互いの没後、互いの転生者を探し出し認定することによって、揺るがない指導者を立て、権力闘争や無益な争いを排し、平和共存的な宗教的社会を築いてきたのだ。
ところが、その パンチェン・ラマ が中国政府の手に落ちたのだ。ダライ・ラマ が認定した転生者の少年が行方不明となり、こともあろうか、代わりの パンチェン・ラマを中国政府が勝手に立ててしまったのだ。その意図は言うまでもない。次の最高指導者を指名できる者を、その手に握るためである。

チベットには自由選挙で選ばれた指導者が必要だ。私はそんな指導者に権限を移譲したいと、60年代から繰り返し述べてきた」このように発言した、ダライ・ラマの胸中にあるのは、宗教国家を民主化したいというものではない。中国の属国という滅亡の道をいかにして逃れるかという、切実なものである。

もしも、我が国の天皇を、彼らが勝手に連れ去り、取り代えてしまうようなことが起こったなら…… そう思うと、憤りがおさまらない。
神が、この世界に存在する限り、いつまでも彼らを放ってはいないだろう。 

 
 パンチェン・ラマ論争